「芋」とは想像つかない弾力です。
今回のテーマは
蒟蒻(こんにゃく)
です。
「こんにゃく芋」と呼ばれる「芋」からできる、不思議な食材です。味はほとんどしませんが、押し返すほどの弾力があり、非常に食べ応えがあります。具材として利用することも可能ですが、味付け次第では、いろんな料理の代用としても利用できます。そんな蒟蒻について、潰瘍性大腸炎にとってどんな影響があるか調べて見ました。
食感がすごい
噛んでも押し返してくるほどの弾力があり、食べ応えがあります。食感や、ボリューム感をアップさせたい料理には活躍してくれる食材で、具材に混ぜれば、いつもとは違った食感、弾力で面白い料理に仕上がります。
ハンバーグなど、ひき肉に混ぜても面白く、そして美味しいのでオススメです。
満腹になりやすい
先ほどの、弾力でよく噛むことと、グルコマンナンと呼ばれる成分がお腹の中で膨らみ、どちらも満腹感を得られる効果があるそうです。これは、食べ過ぎを防いだり、少量の食事でも、満足できるので、食事を制限している生活には、非常にありがたい効果です。
いろんな形や色がある
四角い状態だけではなく、麺の状態だったり、一口サイズやタピオカ風の丸い状態など、様々な用途で使うことが出来ます。また、色も豊富なので、非常に楽しい食事に仕上げてくれます。
特に麺などは、小麦粉の麺のかわりにすれば、カロリーや糖質を抑えてくれるので、工夫次第では、大活躍してくれます。
冷たい状態でも食べられる
おでんや、スープなど、温かい状態で食べることが多いイメージですが、刺身蒟蒻という種類があり、冷たい状態でも食べられるため、夏でも美味しくいただけます。水を切るだけで手軽に食べられるので、忙しい時に一品追加したい時に、活躍してくれます。
お肉のような味に仕上がるかも?
焼き肉のたれなどを利用して炒めれば、お肉のような味に仕上げることも可能です。また、市販でも、「こんにゃくステーキ」というのも売っており、食感は蒟蒻ではありますが、こちらも味はお肉のような味で、非常に美味しく食べることが出来るのでオススメです。
血圧を下げる(少し注意)
ジャガイモや里芋と同じように、カリウムが豊富にあり、血圧を下げる効果があります。蒟蒻は、味噌など塩分が若干高めな調味料で食べることも多いので、ありがたいです。
ただ、取り過ぎると、肝機能を低下させる恐れがあり、治療に影響を及ぼす恐れがあるので、注意が必要です。
骨を丈夫にする元がある
少量ではありますが、骨の元となるカルシウムを摂取することが出来ます。ただ、蒟蒻のみで、補うのは難しいので、他の食材と一緒にバランスよく摂取する必要があります。特に、キャベツやブロッコリーなどのビタミンKや、ホウレン草などのマグネシウムを同時に摂取することで、効率よくカルシウムを摂取することが出来るので、なるべく一緒に食べるといいかと思います。
そのままでは味がほとんどない
蒟蒻のみでは、味がほとんど無く、そのまま食べるには、少々厄介な食材のため、メインで食べるには難しいです。また、スープなどで煮込んでも、味はあまり浸透しないので、表面を少し切込みを入れたり、サラサラの調味料よりは、ドロッとした調味料を利用して味を付けるなど、少し工夫が必要です。
消化は悪い
お腹に溜まる分、消化が悪く、大腸に負担をかける恐れがあります。特に、不溶性食物繊維が多いので、悪化や再燃のリスクも高いです。トイレの回数が多くなる恐れがあり、治療が長期化することもあり得るので、食べ過ぎには注意が必要です。
料理する場合
切込みを入れてから使う
出汁などを利用したスープに入れても、味が馴染まず、あまり美味しくできない恐れがあります。そのため、利用する前に、蒟蒻の表面を包丁などで、切込みを入れてから料理に使うことで、味が浸透しやすく、美味しく仕上がります。
よく噛んで食べる
何度も書いたように、消化が悪い上に、誤って喉に詰まらせてしまうこともあります。特に麺の形になっている糸こんにゃくなどは、咀嚼(そしゃく)が疎かになりがちです。少しでも消化を良くするために、噛むことを意識して食べるようにしてください。
蒟蒻ゼリーは食べない
「蒟蒻」と付いているので、ヘルシーな感じに見えますが、糖質が意外にも高いです。糖質0の種類もありますが、こちらは、人工甘味料が入っており、場合によっては、体調を崩す恐れがあります。
食べるのであれば、糖質0以外の種類がいいかもしれませんが、潰瘍性大腸炎にとっては、糖質も若干、上がりやすいので、毎日は食べず、数日に1個程度に留めてください。
冷たい状態では食べない
先ほど書きましたが、水を切るだけですぐに食べられる刺身こんにゃくなど、冷たい状態は消化が悪く、蒟蒻の消化と相まって、こちらも悪化や再燃のリスクがあります。まだ炎症中は、冷たい状態では食べず、なるべく温かい状態で食べるようにしてください。
手綱こんにゃくがオススメ
お正月によく見かける、手綱こんにゃくですが、切れ目や、捻(ね)じれている部分があるので、通常よりは味が馴染みやすくなっています。少々手間ではありますが、調理する前に、細長く切った後、真ん中に切込みを入れ、端の部分を穴に入れるだけで、見た目も味も変わり、楽しい食事になるので、オススメです。
炎症の悪化中は食べない
満腹感を得られるので、食事制限中に食べたいところですが、炎症中や体調不良の場合は、大腸の負担が大きく、かえって悪化させる恐れがあるので、食べるタイミングには注意が必要です。特に、まだ出血が出ている場合は、悪化させるリスクが高いので、なるべく避けた方がいいかもしれません。
その他の注意点
調味料に注意
油や鷹の爪などピリッとした料理にも合いますが、避けてください。
一度に多くは食べない
消化が悪いため、少量で食べるようにしてください。
体調に合わせて食べる
不要性食物繊維が多いので、体調が優れない場合は避けてください。
(番外編)通常の蒟蒻と生蒟蒻との違い
最初は、何が「生」なのかわかりませんでしたが、調べていくうちにいろいろ特徴がありましたのでまとめました。
特徴 | 通常の蒟蒻 | 生の蒟蒻 |
---|---|---|
製法 | 一度乾燥させ、粉にしてから作る | 素材そのままの状態からすり潰す |
保存期間 | 長い(年中食べられる) | 短い(旬の間だけ) |
栄養価(比較) | 低い | 高い |
食感 | 押し返すほどの食感 | 柔らかくてモチモチ |
食物繊維(比較) | 少ない | やや多い |
潰瘍性大腸炎の観点で比較すると、生蒟蒻の方が、栄養価は高いかもしれませんが、皮ごと(素材そのまま)すり潰すため、食物繊維がやや多く、保存期間も短いため、炎症の悪化、再燃のリスクが高いかもしれません。
そのため、寛解前の場合は、通常の蒟蒻を食べることをオススメします。
評価
Good評価(多いほど良い評価です)
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
栄養 価値 | 満腹感を得られるが、それほど栄養価は高くない むしろ、食物繊維が多い | |
料理の 種類 | 味が馴染みにくいので、料理は限定されるが、 いろんな形があるので、使い方次第では活躍してくれる | |
消化の 良さ | 消化は非常に悪いので、体調不良の場合は 食べない方がいい |
Bad評価(多いほど悪い評価です)
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
料理の 手間 | 基本的には、そのままでも使えるが、 薄味でも美味しく仕上げたい場合は切込みをする必要がある | |
再燃 しやすさ | 食物繊維や食べ過ぎによる体調不良があり、 リスクは非常に高い | |
その他の 危険 | ヘルシーであっても、食べ過ぎは肝機能低下や 腹痛を起こすこともあるので注意 |
まとめ
総合評価: 避けた方がいい
芋とは思えず、見た目も独特な食材ですが、満腹感を得られやすい食材で、ダイエットなど、カロリーを抑えたい時に大活躍してくれます。また、種類によっては、食感なども違ったり、麺のような形もあるので、意外にも料理の幅が広く、楽しい食事にさせてくれること間違いなしの食材です。
ただ、不溶性食物繊維も多いので、消化が悪いだけではなく、悪化や再燃のリスクがあり、潰瘍性大腸炎の食事には不向きな食材です。それ以外にも、味付けは工夫しないと難しかったり、濃い味付けにしがちで、塩分など栄養過多になる恐れもあります。
食事制限をしている潰瘍性大腸炎にとっては、うれしい効果もありますが、不溶性食物繊維やカリウムが多い部分が大きくマイナスで、炎症の悪化、再燃、はたまた薬が飲めなくなる可能性もあり、治療が長期化される恐れがあるので、このような評価になりました。
不要性食物繊維は、まだ出血があるうちは、なるべく避けた方がいいので、できれば寛解になるまでは我慢した方がいいかもしれません。ただ、楽しい食事にもさせてくれるので、具材として利用した料理に関しては、できれば少量にしておき、潰瘍性大腸炎の食事生活を早く脱出できるように頑張ってください。
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