今回は特別編で、栄養素との関係を調べてみました。潰瘍性大腸炎にとっては、天敵ともいわれる栄養素です。
今回のテーマは
食物繊維
です。
大腸の負担が大きい上に、炎症を傷つける恐れがあるため、私たち潰瘍性大腸炎にとっては、非常に厄介な栄養素です。炎症があるうちに食べると、地獄を見てしまうトラウマのせいで、寛解になっても、避けてしまいがちですが、現代にとっては重要な役割をしていることがわかりました。
今回は、食物繊維を「どんな栄養素なのか」と「潰瘍性大腸炎としての評価」の2つをまとめてみましたのでよかったら参考にしてみてください。
主に含まれている食材
歯ごたえ、噛み応えがある繊維質の部分に多いです。主に植物系に多く、逆に動物系は、ほとんど無いそうです。(しいていえば「殻(から)」がついている甲殻類など)
注意点としまして、これらの食材を使用した加工品の場合は、食物繊維が少ない場合があります。(出汁や豆腐など)
どんな栄養素なのか?
体の中で分解されない成分
どんな食材でも消化しにくい箇所が存在し、体内で分解することなく排出してしまう成分があります。その成分を基本的には「食物繊維」と呼んでいます。
一見、不要な栄養素に見えますが、消化されない特徴を生かし、様々な活躍をしてくれる、現代に必要不可欠な栄養素です。
腸内の掃除をしてくれる
消化されず排出される食物繊維ですが、同時に腸内に消化しきれないカスや便を同時に巻き込んで排出されます。これにより腸内は綺麗に保つことができ、新鮮な栄養素を摂取することが可能です。
整腸作用で便秘を改善
食物繊維には、腸内を刺激させ、蠕動(ぜんどう)運動させる効果があり、溜まっている便を排出させてくれる効果があるそうです。また、水分を吸収する効果もあり、下痢気味の便を改善してくれる効果があります。
他の栄養素の過剰摂取を防ぐ
体内に吸収しきれなかった栄養素排出する効果があり、特に「脂質」や「糖質」の過剰摂取を防ぐ効果があります。例えば、糖質を摂取した場合、食物繊維も同時に摂取すれば、吸収を抑え、急な血糖値の上昇を抑えることが可能です。
その結果、糖尿病をはじめ、様々な生活習慣病を防いでくれます。
暴飲暴食を防ぐ
吸収されず、体内に居続けるので、腹持ちは良いです。また、繊維質も多く、よく噛んで食べるため、少量で満腹感を得ることが可能です。
そのため、食べ過ぎを防いだり、間食を抑えるため、暴飲暴食を防いでくれる効果があります。
大腸がんを予防できる
潰瘍性大腸炎に関わるお話ですが、基本的に食物繊維は、合併症でもある大腸がんのリスクを減らす効果があるそうです。特に野菜は、栄養をバランスよく取りつつ、リスクを減らしてくれるありがたい食材です。
表記は炭水化物に含まれる場合がある
非常にややこしいですが、成分表などに記載されている炭水化物には、食物繊維も含まれており、合わせた数値が記載されている場合があります。そのため、「炭水化物 = 糖質」ではないので注意してください。
イメージとしては以下の通りです。
炭水化物 = 食物繊維 + 糖質
最近は、野菜ジュースなど、炭水化物の下に糖質と食物繊維が別々に表記されるモノも増えてきました。ちょっと気にしてみるのもいいかと思います。
2種類の特徴
●ザラザラする不溶性食物繊維
繊維質な食物繊維です。穀物やキノコ類などに含まれています。
この繊維質で腸を刺激させ、動きを活発化(蠕動運動)させます。また、保水性が高いので、体内で水分を吸収して膨らむのも特徴です。
●ネバネバする水溶性食物繊維
粘着性のある食物繊維です。海藻やこんにゃくなどに含まれています。
粘着性により胃や腸内をゆっくり移動します。この時、吸収しきれない成分を巻き込みながら体外まで移動し、排出します。
(余談)昔は邪魔な存在だった栄養素
昔にとっては、栄養を損なわせたり、食感が悪くさせるため、不要の存在だったそうですが、大腸ガンのリスクを抑える効果をはじめ、現代の暴飲暴食や運動不足の観点から、注目され始めるようになったそうです。
そのため、昔と比べて出世した栄養素みたいです。
潰瘍性大腸炎としての評価
消化は悪く、再燃のリスクがある
食物繊維の特徴でもある「体内に吸収されない栄養素」なので、大腸に長く残り続けることとなり、負担が大きいです。また、蠕動運動を促すため、休むことなく働き続けてしまいがちです。
生活習慣病などを予防する効果はありますが、大腸の負担が大きく、再燃のリスクを高くさせる恐れがあるので、やはり、避けた方がいい栄養素です。
再燃のリスクが高い不溶性食物繊維
ザラザラする不溶性食物繊維は、炎症部分に傷を負わせる恐れがあり、最悪、悪化する可能性もあります。また、蠕動(ぜんどう)運動を促進させるため、ザラザラと大腸の働きにより悪化させる恐れがあります。そのため、「再燃のリスク」はダントツに悪い評価になりがちです。
一部の食物繊維は腸内でガスが溜まる
一部の食物繊維は、腸内で達すると、場合によっては、ガスを発生させ、大腸を圧迫させてしまうことがあります。そのため、大腸の負担や、「おなら」のストレスとなり、悪化、再燃のリスクが高くなります。特に、サツマイモやジャガイモなどの、芋類は、ガスが溜まりやすいので、注意が必要です。
多少悪い評価が落ちる水溶性食物繊維
ネバネバの特徴なので炎症を悪化させるリスクは多少低くなりますが、それでも油断は禁物です。また、こちらは整腸作用があるので、食べ過ぎないようにすれば、効果は期待できるかと思います。
ただ、個人差があり、場合によっては体調を崩す恐れがあるので、少しずつ様子を見ながら食べるようにしてください。
食べる際は工夫する
どの食材にも食物繊維は含まれているため、完全に回避することは困難ですが、皮やワタなどの一部に多く含まれているため、その部分を取り除けば、ある程度抑えられます。難しいのであれば、細かく刻んだり、濾(こ)してジュースにするのもいいです。
ひと手間掛かりますが、栄養も大事なので、野菜も積極的に食べるようにしてください。
寛解になったら積極的に食べる
生活習慣病などの予防や、合併症でもある「大腸がん」を予防する効果はあるので、炎症がなくなって落ち着いたら、積極的に食べた方がいいかと思います。
ただ、寛解中も油断せず、食べる場合は、ゆっくり、少しずつ食べるようにしてください。
食べる場合の注意点
●よく噛んで食べる
噛むことを意識してゆっくり食べてください。多少消化が良くなることと、満腹感を早く感じることができ、食べ過ぎも防いでくれます。
もしくは、食べる前にあらかじめ細かく刻んでおくのもいいかと思います。
●一度に多く食べない
大量に食べてしまうと、炎症を悪化させるリスクは高くなります。また、大腸の負担も大きくなるので注意してください。
●寝る前はなるべく控える
夜に食べてしまうと、蠕動運動してしまう恐れがあり、寝ている間も働き続けるため、かえって負担が大きくなる恐れがあります。また、夜中にトイレに行きたくなる恐れもあり、睡眠時間が削れる恐れがあります。
●体調が悪い場合は食べない
下痢や血便など、体調がいつも以上に優れないときの食物繊維は、逆に大きく負担をかける恐れがあるため、なるべく食物繊維を避け、消化の良い食事を心がけるようにしてください。
まとめ
消化の悪さや大腸の負担をかけてしまいがちで、治りにくくさせたり、最悪、悪化させる恐れがあり、潰瘍性大腸炎にとっては、やはり避けた方がいい栄養素だということが、改めてわかりました。
ただ、それ以外を除けば、食物繊維の特徴を活かし、食べ過ぎや栄養過多を防いだり、生活習慣病の予防などに効果があるので、現代の救世主のような栄養素でもあります。
潰瘍性大腸炎になると、避けてしまいがちな栄養素ではありますが、炎症が無ければ、効果は大きいので、炎症がまだある場合は避けて、寛解になったら積極的に食べることをお勧めします。
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